一箇所の職場に長く勤めていると、行使できるようになる権利がいくつも存在します。活用するか否かは労働者の自由とはいえ、そもそも知識として把握していない層は少なくありません。
たとえば、アルバイトやパートに代表される非正規雇用者は労働者に特有の権利を知らないことが多いです。採用基準が緩和され続けており、その結果として若年層や社会経験が皆無に等しい中高年なども働くことができるからです。労働者にまつわる情報量が圧倒的に少ないので、権利を行使することなく働き続けていると考えられます。
しかしながら、アルバイトやパートなどの労働者こそ権利を行使するべきです。正規雇用者よりも福利厚生の面で充実していないことが往々にしてあるために、与えられた権利を活かす心構えを大切にすることによって生活が豊かになります。
アルバイトやパートには、正規雇用者と同じように有給を取得することが可能です。ただし、有給の権利を得るためには二つの条件をクリアしている必要があります。一つは、半年以上の勤務実績を積み重ねていることです。勤務日数の合計ではなく、職場の労働者になった日から起算します。もう一つは、あらかじめ定められた勤務日数のうち半年間において8割以上出勤していることです。どちらも体調管理に気を付けてさえいれば難なくクリアできると考えられるので、アルバイトやパートの大半が行使できる権利と言えます。
有給の日数は無尽蔵に与えられるわけではないので、労働者が行使できる権利といえども制限が設けられている点を忘れてはなりません。雇用体系にかかわらず、10日間の有給が与えられます。有給の残存数が残っていれば、労働者は権利を行使して任意の労働日に休暇を取ることができます。
アルバイトやパートも有給の権利を行使できるとはいえ、短絡的に休暇を取る旨を宣言するのはいただけません。建前上は権利として認められていますが、実際上は有給の残存数を減らす前には周囲と話し合うことが求められます。アルバイトやパートと言えども、職場にとっては貴重な労働者です。
とりわけ繁忙期に有給の権利を行使すれば、仕事仲間の負担が増大します。そのため、有給を根拠に休暇を取ろうとするときには例外規定が設けられています。労働者が有給の権利を行使した日が繁忙期に相当すれば、別の日に休暇を取るようにとアルバイトやパートに要請できることです。この場合、アルバイトやパートには指示に従う義務が生じます。